光のもとでⅠ
 検査着に着替えるとき、腕にバングルがはまっていることに気づく。
 湊先生が黒いバーのようなものを近づけるとそのバングルは外れた。
「それ、なんですか……?」
「あとで話すわ。検査が終わったら連絡して」
 湊さんは受付に声をかけると、「あとで迎えにくるから」と検査室を出ていった。
「……忙しいんだろうな」
 自分に付き添ってもらって申し訳ない限りだ。
 自分の左腕を見て、そこにはまっていたのものを思いだす。
 きれいなバングルだった。
 でも、私の記憶にはないもの……。
 気にはなったけれど、すぐに検査技師さんに声をかけられ、誘導されるままに細い寝台へ横になった。
 頭の位置を調整されたりうでの位置を直されたりして検査の準備が整う。
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