光のもとでⅠ
 脳裏に楓先生と湊先生の顔が交互に映し出された。
 何――!?
 途端に息苦しさを覚える。
「っ……」
 苦しいと思って数秒でバン、とドアが開く音がした。
 それは検査室の奥へ続く扉ではなく、検査室の外に通じる廊下から。
「検査中止っ、翠葉っ?」
「せん、せ……」
「きちんと呼吸しなさい」
 先生は脈を取りながら、乱れた呼吸をもとに戻そうとしてくれる。
 呼吸が落ち着くと聴診器を取り出し、すぐに胸の音を聞かれた。
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