光のもとでⅠ
「じゃ、あなたの今ある状況を話すわ」
 藤原さんがそう口にしたとき、お母さんと湊先生が病室に入ってきた。
「翠葉、一緒に先生の話を聞きましょう」
 お母さんは藤原さんとは反対側のベッドサイドに回って手を握りしめてくれた。
「御園生さんは一時的な記憶障害を起こしてるみたいね」
 記憶、障害……?
「それは頭をぶつけたからですか?」
「あら……頭痛かった?」
「……いえ。たんこぶもできていなかったし……」
「そうよね。あなたが倒れたのはベッドの上だもの」
「……ここ?」
 ベッドを指差すと、「そう」とにっこり笑顔つきの返事があった。
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