光のもとでⅠ
携帯を耳に当てると、藤宮司さんはさらに驚いた顔をした。
「……これ、俺が理由を訊こうとしたら一方的におやすみなさいって切られたから、理由はわからない。ただ、入院する前の出来事」
確かに、私が一方的に要求して、一方的に切っている感じの会話だ。
藤宮司さんが携帯をテーブルに置くと、その隣に置いてあった柘植櫛が目に入った。
「あの、これ……誰からの誕生日プレゼントか知ってますか?」
「……俺」
「っ……あのっ、ありがとうっ! 柘植櫛、すごく前から欲しくて、だから……たぶん、そのときの私も喜んだ……?」
「……喜んでた」
「本当に、ありがとう……」
もしかしたらそのときにお礼は言っているのかもしれない。
でも、もらった記憶もなければ、お礼を言った記憶もないのだ。
だから、もう一度ありがとうが言いたかった。
「……これ、俺が理由を訊こうとしたら一方的におやすみなさいって切られたから、理由はわからない。ただ、入院する前の出来事」
確かに、私が一方的に要求して、一方的に切っている感じの会話だ。
藤宮司さんが携帯をテーブルに置くと、その隣に置いてあった柘植櫛が目に入った。
「あの、これ……誰からの誕生日プレゼントか知ってますか?」
「……俺」
「っ……あのっ、ありがとうっ! 柘植櫛、すごく前から欲しくて、だから……たぶん、そのときの私も喜んだ……?」
「……喜んでた」
「本当に、ありがとう……」
もしかしたらそのときにお礼は言っているのかもしれない。
でも、もらった記憶もなければ、お礼を言った記憶もないのだ。
だから、もう一度ありがとうが言いたかった。