光のもとでⅠ
「おかしいなぁ……。入院をして治療を受けた記憶もあるのに、どうしてそういう記憶がないんだろう……」
ぼやいたところでその言葉に藤宮司さんは応答してくれない。
ものすごくやりづらい……。
病室を出ると、廊下の長椅子に座っていたお母さんたちがびっくりした顔をした。
「あのね、屋上に連れていってくれるの」
三人は揃って車椅子を押している人を見た。
「司、頼むな」
エレベーターに乗り込み屋上に着くと、庭園みたいな屋上だった。
「お花いっぱいっ! 向日葵もあるっ!」
「ここが翠のお気に入り」
車椅子が停められたのはミントがたくさん植わっている花壇の前だった。
「わぁ……ミントの香りがする」
「……翠、また司って呼んでくれない?」
メガネの奥から真っ直ぐにこっちろ見る目にドキリとする。
ぼやいたところでその言葉に藤宮司さんは応答してくれない。
ものすごくやりづらい……。
病室を出ると、廊下の長椅子に座っていたお母さんたちがびっくりした顔をした。
「あのね、屋上に連れていってくれるの」
三人は揃って車椅子を押している人を見た。
「司、頼むな」
エレベーターに乗り込み屋上に着くと、庭園みたいな屋上だった。
「お花いっぱいっ! 向日葵もあるっ!」
「ここが翠のお気に入り」
車椅子が停められたのはミントがたくさん植わっている花壇の前だった。
「わぁ……ミントの香りがする」
「……翠、また司って呼んでくれない?」
メガネの奥から真っ直ぐにこっちろ見る目にドキリとする。