光のもとでⅠ
病室では宮川さんがクロスを用意して待っていた。
室内には等身大が映る大きな鏡が立てかけられており、床には新聞紙が敷き詰められている。
「そのまま車椅子に座った状態で切ろうね。なるべく早く終わらせるけど、途中でつらくなったら無理せず声をかけてね」
「はい」
「左サイドの髪の毛がこの長さ、か。ちょうど鎖骨のあたりだからシャギーを入れるのもいいかな。姫カットも似合うと思うけど、翠葉ちゃんはどうしたい?」
「…………バッサリ、切っちゃおうかな」
そのほうが自分で洗うのも楽だし、洗ってくれる人も洗いやすくなるだろう。
乾かす時間だって短縮される……。
「……翠葉ちゃん、ここまでの伸ばすのに何年かかったか覚えてる?」
「……五年くらい?」
「そうだよね、切るのは一瞬で終わる。でも、伸ばすのには時間がかかるんだ。一時の感情で切るのはお勧めできないな」
一時の感情――。
確かに、今ふと思っただけだった。
室内には等身大が映る大きな鏡が立てかけられており、床には新聞紙が敷き詰められている。
「そのまま車椅子に座った状態で切ろうね。なるべく早く終わらせるけど、途中でつらくなったら無理せず声をかけてね」
「はい」
「左サイドの髪の毛がこの長さ、か。ちょうど鎖骨のあたりだからシャギーを入れるのもいいかな。姫カットも似合うと思うけど、翠葉ちゃんはどうしたい?」
「…………バッサリ、切っちゃおうかな」
そのほうが自分で洗うのも楽だし、洗ってくれる人も洗いやすくなるだろう。
乾かす時間だって短縮される……。
「……翠葉ちゃん、ここまでの伸ばすのに何年かかったか覚えてる?」
「……五年くらい?」
「そうだよね、切るのは一瞬で終わる。でも、伸ばすのには時間がかかるんだ。一時の感情で切るのはお勧めできないな」
一時の感情――。
確かに、今ふと思っただけだった。