光のもとでⅠ
「今度教えようか?」
「え……?」
「興味はある。でもできるかどうかは別。そんな顔してる」
 小宮さんに顔を覗きこまれて、「当たりです」と白状する。と、
「大丈夫、誰でも練習すればできるようになるから!」
「……いつか、お時間があるときに」
「よっし! 翠葉ちゃんに似合いそうなのいろんなの考えておくね!」
 でも、美容師さんのお休みって火曜日しかないんじゃ……。
 そんなことを考えていると、
「タマキ、そろそろ撤退」
 宮川さんが辺りを片付け始めた。
「あのっ、オープン前の忙しい時間にすみませんっ。ありがとうございました」
「気にしなくていいよ。お代はちゃんといただいているし、思わぬ収穫もあったし」
「え……?」
 思わぬ収穫って何……?
 宮川さんをじっと見ていたけれど、それが何かまでは教えてもらえなかった。
 そうして、バタバタとふたりは病室を出ていった。
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