光のもとでⅠ
「え?」
「髪、切ったんだな。……座っても床につかなくなった」
「……ツカサ、私、それ毎回ツカサに怒られてたのかな?」
 ツカサは少し悩んでから、
「毎回怒っていた記憶はない。ただ、髪が汚れるとは思ったから、何度か椅子に座るように促しはしたけど」
「……そっか。なんとなくそんなような記憶はあるの。でも、やっぱり思い出そうとしてもきちんと一本の線にならなくて気持ち悪い」
 ツカサは何も話さず黙っていた。
「だから、抜けてる部分にはツカサが藤宮秋斗さんか蔵元さんが関わっているのかな、って。……でも、教えてもらっても思い出せるわけじゃないの。ただ、そうなんだ、って思うだけ。教えてもらったら、『あぁ、そうだったよね』って思い出せたらいいのにね」
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