光のもとでⅠ
 その頃、自分が携帯ゾーンに行けるとは限らない。
 痛みが出てきてそれどころではないのかもしれないのだ。
「だから、来るつもり」
 きっと私が後悔した意味もわかっててそう言ってくれたのだろう。
「……ありがとう」
「……だから、もう一度言ってくれない?」
「え? あ……大丈夫だから、がんばって?」
「……ありがとう」
 ツカサは会ったときから冷静沈着のイメージだ。
 ツカサの記憶はないし、数日前に出逢ってからまだ日は浅い。
 でも、たぶんいつでもこうなんだろうな、と思うほどに落ち着き払っていて、普通の十七歳にはあまり見えない。
 そんなツカサでもインターハイ前ともなれば緊張するのだろうか。
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