光のもとでⅠ
「……わかりにくい人だなぁ……もう」
 でも、少しは心を許してくれているのかな……。
 だから、"お願い"をされたのかな。
 人のことなんて頼りにせず何もできちゃいそうな人から頼まれた。
 そのことも嬉しいのだけど、ツカサに頼られたことが何よりも嬉しく思えた。
 携帯ゾーンにいるついで、と言ったら怒られてしまいそうだけど、唯兄に電話をしようと思った。
 蒼兄やお母さんとは会っているけれど、お父さんと唯兄には会っていない。
 そもそもバッテリーの用意をしてくれたのは唯兄なのだ。
 コールすると、二コールで出た。
「唯兄?」
『……まだ就寝時間前か』
「うん、まだあと数時間はあるよ。夕飯だってこれからだもの」
『んーーー……どうも時間の感覚が』
 なんとなく、伸びをしながら発した言葉っぽい。
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