光のもとでⅠ
『そっか、司くんはインハイ前ってあんちゃんが言ってた気がする』
「うん、あのね……」
『どうした?』
 耳に響く唯兄の声が優しい。
 心配している声ではなく、普通に話して「どうかした?」って訊いてくれている感じ。
「ツカサの顔を見たら自分の顔が熱くなる……。すごく困るのだけど、対処法知らないかな?」
『…………リィ、今、ものすんごく会って話を訊きたい気分。でも、それは物理的に無理なので、電話で我慢する。顔が熱くなるっていうのはさ、ドキドキしてるってこと?』
「……うん。だって、あの人無駄に格好いいんだもの……」
『……記憶がなくても受ける印象はあまり変わらないもんだなぁ……』
「……そうなの? 私、こんなこと言ってたの?」
『うん、言ってた。でも、そのときはドキドキするとか、顔が熱くなるってことはなくて、一感想って感じだったかな』
 じゃ、どうして今はドキドキしたり顔が熱くなるんだろう……。
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