光のもとでⅠ
「俺はあらゆる分野に精通しているぞー? 医療の分野では特定の分野だがな……」
 名前の呼び方といい、負けず嫌いな先生だなぁ……と思いつつ、悩みの一欠片を話すことにした。
「どうしたことか、ツカサを見ていると時々心臓がドキドキして困るんです」
 苦笑して話すと、昇さんが真顔でこっちを向いた。
「で?」
「それがどうしてかわからなくて、微妙に困っています。嫌じゃないんだけど、気持ちの名前がわからなくて……」
「……それは素なのか?」
「素……というか、真面目にわからないから唯兄に相談するんですけど?」
 昇さんは一瞬にして大笑いを始めた。
「なんて奇特な兄ちゃんなんだ」
 ひどいなぁ……と思いつつ、さっきみたいに寂しそうな顔をしていないことに安心した。
「それで心臓壊れたりしないかなって不安になっていたら、それで死ぬ人はいないって言われちゃいました」
 昇さんはさらにお腹を抱えて笑いだす。
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