光のもとでⅠ
「でもね……前にも湊先生にも同じようなことを言われた記憶があって――でも、ツカサのことで訊いたのかは覚えていなくて、記憶がところどころなくて気持ちが悪いです」
「……記憶っていうのは、人の歴史みたいなもんだからな。……思い出せるといいな」
そう言うと、私の頭に大きな手を置き、
「そろそろ病室に戻るか」
「はい」
車椅子に戻る時、左足に痛みを感じた。
「痛いのか?」
「まだ大丈夫。……だって、痛くてもまだ歩ける」
「……そうか、悪いな。治療してやれなくて」
「……昇さんは悪くないです」
「そうだな、相馬が帰国したらふたりで恨みつらみをぶつけような」
「……それはどうしようかな?」
「なんでだ?」
「確かに恨みつらみはなくもないんですけど、これから治療してくれる人に、治療前に文句を言うのは得策じゃない気がします」
真面目に答えたらまた笑われた。
「……記憶っていうのは、人の歴史みたいなもんだからな。……思い出せるといいな」
そう言うと、私の頭に大きな手を置き、
「そろそろ病室に戻るか」
「はい」
車椅子に戻る時、左足に痛みを感じた。
「痛いのか?」
「まだ大丈夫。……だって、痛くてもまだ歩ける」
「……そうか、悪いな。治療してやれなくて」
「……昇さんは悪くないです」
「そうだな、相馬が帰国したらふたりで恨みつらみをぶつけような」
「……それはどうしようかな?」
「なんでだ?」
「確かに恨みつらみはなくもないんですけど、これから治療してくれる人に、治療前に文句を言うのは得策じゃない気がします」
真面目に答えたらまた笑われた。