光のもとでⅠ
「なかなか機転がきくな」
言いながら車椅子を押し始める。
病室に戻っても昇さんはスツールに腰掛け、一向に出て行く気配がない。
「昇さん、お仕事は?」
「時々外科手術をやってる。あとは術前カンファレンスに参加して助言をしたり。でも、まだ本格的には仕事していないんだ」
「どうしてですか……?」
「翠葉ちゃんの痛みがいつ襲ってくるかわからないからな。相馬が帰国するまではこっち重視。紫さんや涼さんからもそれでいいと言われてる」
「…………」
「あまり深く考えるなよ? 症例が少ないだけに貴重なデータ収集にもなってる。……って言うと、モルモットか何かみたいに聞こえて嫌だよな」
先生は少しだけ顔を歪めた。
「……私の身体が何かの役に立てるなら、全然嫌じゃないです」
それは本音だった。
こんな身体の私でも、何かできることがあると思えるかもしれないから。
言いながら車椅子を押し始める。
病室に戻っても昇さんはスツールに腰掛け、一向に出て行く気配がない。
「昇さん、お仕事は?」
「時々外科手術をやってる。あとは術前カンファレンスに参加して助言をしたり。でも、まだ本格的には仕事していないんだ」
「どうしてですか……?」
「翠葉ちゃんの痛みがいつ襲ってくるかわからないからな。相馬が帰国するまではこっち重視。紫さんや涼さんからもそれでいいと言われてる」
「…………」
「あまり深く考えるなよ? 症例が少ないだけに貴重なデータ収集にもなってる。……って言うと、モルモットか何かみたいに聞こえて嫌だよな」
先生は少しだけ顔を歪めた。
「……私の身体が何かの役に立てるなら、全然嫌じゃないです」
それは本音だった。
こんな身体の私でも、何かできることがあると思えるかもしれないから。