光のもとでⅠ
 誰だっただろう?
 恋愛小説よりも歌のほうがよっぽど恋愛についてよくわかる、というようなことを言っていたのは。
 誰に言われたのかは覚えていないけれど、そんなようなことを言われたのは覚えている。
 でも、そのときの私はなんでそんなことを言われたのかな。
 目の前にあるCDはクラスメイトからのプレゼントだ。
 私が初恋もまだ、ということをみんなが知っていたから、なのかな;。
 それとも、今みたいに恋する気持ちがどんなものか、と悩んでいたのだろうか。
 だとしたら、それは誰に対して抱いていた気持ちなのだろう。
「……ツカサ?」
 思い当たる人はツカサしかいないのに、パズルがピタリとはまる感じは得られない。
 ツカサ以外といっても、私の周りにはそんなにたくさんの男子はいないはず……。
 そんなことを考え始めると、曲を再生するのが少し怖くなった。
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