光のもとでⅠ
 痛い――でも、まだ大丈夫。
 ベッドを完全にフラットな状態にし、蹲るようにして横になっていた。
 どのくらいそうしていたかはわからないけれど、背中から声をかけられてはっとする。
「いつもこうやって耐えているのか?」
 静かに、驚かせないように声を発したのは昇さんだった。
 廊下側に背を向けていた私が振り返ろうとすると、その動きを制された。
「俺がそっち側に行くよ」
 そして、私の身体に手を伸ばし、右腕を掴んでいた左手を少しずつ剥がしていく。
 目一杯力を入れていた手は、腕に爪を立て皮膚に食い込むほどだった。
 ところどころ内出血しているのが見て取れる。
「あとで爪切ろうな」
 そう言って、昇さんは自分の手を握れと言わんばかりに私の手を放さない。
 私の手と昇さんの手は全然違う。
 同じ人間の手なのに、そうとは思えないほど違う。
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