光のもとでⅠ
「でもさ、佐野くんはまだ一年なんだ。一年で入賞したらそれだけでもすごいことだと思うよ」
蒼兄だって一年で入賞は果たしている。
「御園生さんってつくづく感覚のおかしな子よね?」
藤原さんに言われて、「どうしてですか」と尋ねる。
「だって、高校総体よ? 身近な人間がふたりも出場ってそうそうないことでしょう?」
そう言われてみれば、確かにそうだ。
しかも同じ高校からふたり出場というのはとても珍しいことかもしれない。
「彼の目標は優勝だと思う。でもさ、目標にすぐ手が届くようじゃつまらなくないか?」
え……?
「誰かが言ってた。すぐ手に届くものは夢とは言えないって。目標もそれに然りじゃないかな」
すぐ、手に届くもの――。
「悔しい思いをしたからこそ、また次に向けてがんばることができる。たぶん、そういうものだよ。……別に彼の優勝を望んでないわけじゃないけどね」
自嘲気味に笑った蒼兄に尋ねる。
蒼兄だって一年で入賞は果たしている。
「御園生さんってつくづく感覚のおかしな子よね?」
藤原さんに言われて、「どうしてですか」と尋ねる。
「だって、高校総体よ? 身近な人間がふたりも出場ってそうそうないことでしょう?」
そう言われてみれば、確かにそうだ。
しかも同じ高校からふたり出場というのはとても珍しいことかもしれない。
「彼の目標は優勝だと思う。でもさ、目標にすぐ手が届くようじゃつまらなくないか?」
え……?
「誰かが言ってた。すぐ手に届くものは夢とは言えないって。目標もそれに然りじゃないかな」
すぐ、手に届くもの――。
「悔しい思いをしたからこそ、また次に向けてがんばることができる。たぶん、そういうものだよ。……別に彼の優勝を望んでないわけじゃないけどね」
自嘲気味に笑った蒼兄に尋ねる。