光のもとでⅠ
 ちょっとした気遣いに、さらに上気しそうだった。
「聞かれて困る話なんてしないんだけどな……」
 ぼやきながらツカサの番号を呼び出す。
 何度も見た番号を前に、緊張で心臓がバクバクいいだす。
「通話ボタン押すのって、こんなに勇気いったっけ……」
 つい首を傾げてしまう。
「でも、相手はツカサ……。ツカサなら大丈夫」
 根拠のない自信がどこかにあって、通話ボタンをえいっ、と押した。
 コール音がやけに大きく聞こえる。
 周りが静かだから余計になのだろう。
『……翠?』
「そうっ、私っ――」
 って、私、何言ってるんだろうっ!?
『いや、番号でわかるけど……』
 予想的中の返事にさらにパニックを起こしそうになる。
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