光のもとでⅠ
『じゃ、どうして電話?』
「……ただ話したかっただけって言ったら、怒る……?」
 返答はない。
「ごめんなさいっ、怒った? あの、やっぱり切るからっ――」
『怒ってない。怒ってないから少し落ち着け』
「……本当?」
『本当、少し意外だと思っただけだから』
「意外……? 私はこんなふうに電話したことはない?」
 でも、リダイヤルの上のほうにツカサの番号はあったんだけどな……。
『たいていは相談や悩みごと回線だったと思う』
 その返事に今度は私が驚く。
 確かに相談相手にはもってこいだと思うけど……。
 私はいったいなんの相談をしていたんだろうか。
 進路? 恋愛?
 ――否、いくらなんでも好きな人相手に恋愛相談はしないよね?
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