光のもとでⅠ
 言い方も視線も、いつものようなぶっきらぼうな感じではなく、どこか哀れむような色がある。
 私、そういうの好きじゃないんだけどな……。
 でも、人からは"かわいそう"に見えるのかな。
「昇さん、飲み薬をください。できれば睡眠薬も一緒に……」
「……薬を血中に入れることだってできるんだぞ?」
「一日に二回はちょっと……。まだそこまではひどくないから、だから飲み薬がいいです」
 言うと、白衣のポケットからピルケースを出してくれた。
「……予防的に三段階目の薬と睡眠薬でいいですか?」
「胃が荒れるぞ?」
「わかってます。でも、あの注射だって連続使用はあまり良くないのでしょう?」
「それはそうだが、明日には相馬が着くし、今日くらいはいいだろう。……なんで楽になれる方法を選ばない?」
 一番手っ取り早く楽になれるのは注射を打ってもらい意識を手放すことだ。
 でも――。
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