光のもとでⅠ
「たぶん、そんなきれいごとじゃないです。きっと、何か自分に存在価値を見出したいだけです」
 存在価値――もうずっと考えている。
 自分の存在意義を。
「翠葉ちゃん、君は自分が無力だと思っているかもしれないけれど、君がいるだけで救われている人や幸せを感じる人間はいるんだぞ」
 今日の昇さんはいつもと少し違う。
 どこか擁護されている気がした。
 これは突っぱねたらいけないところ……。
 でも、受け入れられるものでもない。
 説明をしなくちゃ、説明を――。
「昇さん……今まで何人の人にもそう言われてきました。でもね、上手に呑み込めなかったし消化することもできなかったの。たぶん、自分が納得できないとだめなんだと思う」
「……そうか」
 昇さんは立ち上がってからスツールに座りなおした。
「せめて眠るまではついてる」
 いつかツカサがしてくれたように左手を握ってくれた。
 大きな手で、私の冷たい手を温めるように包んでくれた。
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