光のもとでⅠ
 ピピッ――。
 計測が終わってやっと口が自由になる。
「昇さん、大丈夫かな……」
「大丈夫でしょう。どういう風の吹き回しか知らないけれど、愛妻家の男が今日は自分が夜勤するっていうから私はぐっすり眠らせていただいたわ」
 これはなんて返したらいいのかな。
「どうやら相馬医師に御園生さんを会わせるのが相当不安みたいね」
 口と柄が悪い人、だっけ……。
 せめて人相だけはいいことを祈りたい。
「ふらつきや頭のぼーっとした感じは取れてるかしら?」
「あ、はい。大丈夫です」
「なら、朝食の前にお風呂に入っちゃいましょう」
 こんな朝早くに、とは思ったけれど、きっと私の身体に合わせて動いてくれているのだ。
 痛みがないのなら、そのうちに、と。
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