光のもとでⅠ
 身体も洗ってバスルームから出る。と、一気に血の気が引いた。
「上がった?」
 藤原さんに声をかけられ、答えなくちゃいけないのに声も出せなかった。
「御園生さん、入るわね」
 すぐにカーテンが開く音がした。
 しゃがみこんでいた私は、藤原さんの顔を見ることもできないくらいの吐き気に襲われていた。
 どうしたら楽になれるか必死で考えていると、バサ、とバスタオルが目の前に広がった。
「横になっちゃいなさい」
 バスタオルの上に横になると、幾分か楽になった。
「すぐに戻るわ」
 藤原さんは一言残し、カーテンのさらに向こうにあるドアを出ていく。
 数分で戻ってきた藤原さんにタオルケットをかけられた。
「貧血だから少し横になっていれば楽になるわ」
 藤原さんは頭のタオルを取ると、粗いコームで髪の毛を梳かし、新しいタオルで拭いてくれる。
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