光のもとでⅠ
36
朝食を持って戻ってきた藤原さんは、トレイをテーブルに乗せると、いつものようにスツールに腰を下ろした。
身体は起こせるようになったものの、胃のムカムカは完全に引いたわけではなく、朝食を胃に入れる、という行為が受け入れがたい。
でも、卵豆腐は食べられる気がした。
それからお味噌汁も。
塩分は摂ったほうがいい。
そう思ってふたつに手を伸ばした。
ほかのもの――ほうれん草の胡麻和えや卵焼き、煮物には手が伸びず、どうしようかと悩んでいると、
「メロンと桃、どっちがいい?」
藤原さんに訊かれ、意味がわからず首を傾げる。と、
「栞ちゃんが食べれないときに、ってシャーベットを冷凍庫にたくさん入れていってくれたの」
「……メロンが食べたいです」
すると、藤原さんはにこりと笑ってトレイを下げてくれた。
身体は起こせるようになったものの、胃のムカムカは完全に引いたわけではなく、朝食を胃に入れる、という行為が受け入れがたい。
でも、卵豆腐は食べられる気がした。
それからお味噌汁も。
塩分は摂ったほうがいい。
そう思ってふたつに手を伸ばした。
ほかのもの――ほうれん草の胡麻和えや卵焼き、煮物には手が伸びず、どうしようかと悩んでいると、
「メロンと桃、どっちがいい?」
藤原さんに訊かれ、意味がわからず首を傾げる。と、
「栞ちゃんが食べれないときに、ってシャーベットを冷凍庫にたくさん入れていってくれたの」
「……メロンが食べたいです」
すると、藤原さんはにこりと笑ってトレイを下げてくれた。