光のもとでⅠ
 そこへ元気な湊先生がやってきた。
「おはよう」の一言すら、元気の塊に思える。
「何よ……」
 眉をひそめたところがツカサと似ている。
「朝から元気だなって、ちょっとびっくりしただけです」
「マンションで急病人が出てね。朝っぱらから救急車のサイレンに起こされたのよ」
 嫌そうに答えてから、ずい、と顔を覗き込まれる。
「翠葉、我慢なんて身体にいいもんじゃないからつらいときはつらいでとっとと病院に来なさいね」
 いったいどんな急病人の発生だったのだろうか、と勘ぐりたくなる指摘のされ方にたじろぐ。
 でも、私は入院が嫌で自宅に篭っていたわけで――。
 ツカサはどんなふうに私を説得してくれたのだろう……。
 次に会ったときに訊いたら教えてくれるかな?
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