光のもとでⅠ
「相変わらずいい驚きっぷりだねぇ」
「……昇さん、忍者に弟子入りしていたことがありませんか?」
「……今のところねぇなぁ」
 このすごく大柄な人は妙な特技を持っている。
 白衣のポケットに両手を突っ込んで偉そうに歩くのに、どうしてか足音がしないのだ。
 存在感は人一倍ある人のはずなのに……。
 足元を見てみても、楓先生とは違い健康サンダルを履いているし……。
「何、足元見て」
「……足音がしません」
「なるほど、それで忍者に弟子入りになるのか」
 昇さんは顎に手をやり、今度は私がまじまじと見られる番だった。
「さすがに今時忍者はねぇだろ」
 真面目な顔をして言われたので、少したとえ話に後悔をした。
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