光のもとでⅠ
「このタオルケット借りるぞー」
「え? はい……」
 私は夏用の羽毛布団でちょうどいいくらいで、タオルケットは常に足元にたたんで置いてあった。
 それを手にとった昇さんは、湊先生に歩み寄り、起こさないように気をつけながらタオルケットをかけた。
 足音がしないのは昇さんの優しさなのかもしれない。
 蒼兄やお母さんが私を起こさないように静かに歩くのと同じ……。
「なんだ?」
 視線に気づかれ訊かれる。
「いえ、優しいんだなと思っただけです」
「なんだ、今頃気づいたのか。医者に優しくないやつはいないんだよ」
 どうしてか仁王立ちで言われた。
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