光のもとでⅠ
「俺にしてやれるのは先日の治療くらいだ。相馬がどんな治療法を引っ提げて帰ってくるのかは知らない。だから言っていいのか迷ったけど、とりあえず相馬に泣きつけ」
 昇さんのこの言葉たちも"優しさ"なのだろう。
「……はい、そうします」
 泣いて笑って苦笑して、表情だけはとても忙しいことになっている。
「ほら、翠葉ちゃんも少し休んどけ。風呂上りに血圧下がったんだろ? まだ安定してないって清良女史が言ってた」
 そう言われて、素直に横になることにした。
 次に起きたとき、タレ目の柄の悪そうな人に見下ろされているとは予想だにせず――。
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