光のもとでⅠ
 失念――よりは、母親失格だろうか。
 持っていく荷物が三十分ほどでまとめられたのは、ひとえに蒼樹と唯くんのおかげだった。
 車に乗り込むと助手席の唯くんから、「碧さんはこれ」とゼリー飲料を手渡された。
「え?」
「動いたらカロリー摂取。これ、生きてる人の基本」
「はい……」
「飲みたくないとかリィみたいなこと言わないでくださいよ」
 しっかり釘まで刺されてしまった。
「唯、おまえがいると俺はとても楽だ」
 蒼樹がこんなにも人を頼っているところを未だかつて見たことがない。
 新鮮なものを見ながら、あらかじめキャップが緩められていたゼリー飲料を口にした。
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