光のもとでⅠ
 医療のことなら訊きたいことはたくさんある。
 が、そんな話を持ち出そうものなら父さんは交換条件を持ち出す。
 ひとつの質問に対し、俺の学校生活を述べよ、と。
「下手に学校での出来事を訊かれるよりもよっぽどマシ」
 思わず本音がもれる。
「……司らしいっちゃ司らしいが、翠葉ちゃん、これはあんま参考にしないほうがいいぜ?」
 大きなお世話だ。
 昇さんだって父さんには口じゃ勝てないくせに……。
「何時?」
 翠に訊くと、「え?」と驚いた顔がこちらを向いた。
「零樹さんが来る時間」
「……さぁ」
 さぁ、って……。
 頭を抱えたい衝動に駆られると、昇さんが口を開いた。
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