光のもとでⅠ
「翠は観察し甲斐がありますよ」
 そんなふうに答えてはみたけれど、これはあとでつつかれることを覚悟したほうが良さそうだ。
 翠の視線は未だ俺から剥がれない。
 まじまじと見られることに耐えられそうになく席を立った。
「じゃ、俺部活に戻るから」
「あの、もしかしてお昼休憩に来てくれたんですか?」
 今にもベッドを下りそうな勢いで訊かれて少し焦った。
「そうだけど」
 できる限り冷静に答えると、翠は申し訳なさそうな表情で言葉に詰まる。
「……負担じゃないから。そこでうだうだ考えたら怒るよ」
 こういう言い方しかできない自分にも問題はあると思う。でも、こういう言い方じゃないと翠が納得しない。
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