光のもとでⅠ
「……ありがとう」
「はい、どういたしまして」
 病室を出ると、
「お疲れ様。これ持っていきなさい」
 藤原さんに渡されたのはスポーツドリンクだった。
「午後も部活なんでしょう? 精が出るわね」
 きっとこの人にも俺の気持ちはばれているのだろう。
 なんで周りの人間ばかりにばれて、当の本人が気づかないかな。
 翠は普通に鈍いのではなく、恐ろしく鈍いに違いない。
 それを藤原さんに当たるのはお門違いもいいところだ。
 むしゃくしゃした気持ちを抑え、礼を述べて早々にその場を離れた。
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