光のもとでⅠ
「ハナのご飯は?」
「これからよ」
 母さんは秤の上に器を乗せ、少し高い位置からドライフードを落とし始める。
 カランカラン、と音が鳴り出した途端、カツカツカツカツと音が聞こえ、ハナがリビングに現れた。
「この音にだけは逆らえないのよね?」
 母さんはクスクスと笑いながらハナに夕飯を与える。

 夕飯を済ませると、約束の時間までにはまだ少し時間があった。
 久しぶりにハナの相手をする。
 遊ぶというよりも、「撫でろ」と催促をされただ撫でているだけ。
 手入れの行き届いたハナの毛並みは気持ちがよく、触っているのは苦ではない。
 そして、撫でられているハナは気持ち良さそうに身を委ねてくれる。
 この幸せそうな顔を見られるのなら、撫でてやっててもいいいかな、なんて思わらなくもない。
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