光のもとでⅠ
10 Side Reiju 01話
午前中、自分の携帯に病院から連絡が入った。
『藤宮病院の神崎と申します。できましたら、人がいないところまで移動していただけますでしょうか』
なんのことだろう、と思いつつ、自宅の電話ではなく俺の携帯に連絡が入ったことに意を解す。
「ちょっと待ってもらえる? 場所を移動しないと資料が手元にないんだ」
まるで現場からの連絡を装い、ひとりリビングから離脱し三階の仕事場へと移動した。
電話の内容は、翠葉が自分だけには会う、というものだった。
理由という理由はとくに教えてもらえなかったが、愛娘に会えるのは嬉しい。
ただ、碧や蒼樹の気持ちを考えると、ひとり抜け駆け感が否めず、少々心苦しくもある。
「でも、悪いな……。俺だって翠葉には甘いんだ。一足先に合わせてもらうことにするよ」
声はガランとした部屋に響いた。
『藤宮病院の神崎と申します。できましたら、人がいないところまで移動していただけますでしょうか』
なんのことだろう、と思いつつ、自宅の電話ではなく俺の携帯に連絡が入ったことに意を解す。
「ちょっと待ってもらえる? 場所を移動しないと資料が手元にないんだ」
まるで現場からの連絡を装い、ひとりリビングから離脱し三階の仕事場へと移動した。
電話の内容は、翠葉が自分だけには会う、というものだった。
理由という理由はとくに教えてもらえなかったが、愛娘に会えるのは嬉しい。
ただ、碧や蒼樹の気持ちを考えると、ひとり抜け駆け感が否めず、少々心苦しくもある。
「でも、悪いな……。俺だって翠葉には甘いんだ。一足先に合わせてもらうことにするよ」
声はガランとした部屋に響いた。