光のもとでⅠ
 そのうえでもう一度、「どうだろう?」と尋ねると、
「リィさえOKしてくれたら、こんなに嬉しいことはありません……」
 唯くんは少し俯いた。
 じゃ、あとで許可を取ってくるかね……。
 それはまだこの場の人間には秘密だけど。
 翠葉も喜んでくれるといいな。
 よし、これで話題が一個できた。
 会えるとわかって喜んだのも束の間で、実際には会ったら何を話せばいいか話題を探す始末だったのだ。
 翠葉相手に嘘はつけないから、碧が元気だなんて言えないし、蒼樹にしたって唯くんにしたって、常に翠葉を気にしながら生活をしている。
 うちは、翠葉が入院していようが家にいようが、結局はみんなおまえが気になって仕方ないんだよ。
 だったらさ、やっぱり一番治療に適した場所にいるのがいいと思う。
 父さんはそう思うんだ。
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