光のもとでⅠ
翠葉が入院したくない気持ちは理解できた。
あんなに長い時間をここで過ごしたのだ。
もう、戻りたくないと思って当たり前だろう。
九階に着くと、ナースセンターには麗しい女性がひとり。
こちらに気づいたところで、
「娘がお世話になっています」
と、声をかけた。
「娘さん、屋上でお父様をお待ちですよ」
控え目な笑みと共に申し渡される。
「屋上、かぁ……。屋上に行ったら、次は中庭へどうぞ、とか言われませんよね?」
ほら、何かの伝言ゲームみたいにさ。
「それはないかと思いますが……。何かお心あたりでも?」
「いえ、昔読んであげた絵本にそういうお話があったもので」
苦笑をしながら答える。
翠葉はあの話しがえらい好きだったからなぁ……。
「数分前に上がったばかりです」
「そうですか。じゃ、行ってみます」
頭をポリポリと掻きながら、歩いてきたばかりの廊下を戻った。
あんなに長い時間をここで過ごしたのだ。
もう、戻りたくないと思って当たり前だろう。
九階に着くと、ナースセンターには麗しい女性がひとり。
こちらに気づいたところで、
「娘がお世話になっています」
と、声をかけた。
「娘さん、屋上でお父様をお待ちですよ」
控え目な笑みと共に申し渡される。
「屋上、かぁ……。屋上に行ったら、次は中庭へどうぞ、とか言われませんよね?」
ほら、何かの伝言ゲームみたいにさ。
「それはないかと思いますが……。何かお心あたりでも?」
「いえ、昔読んであげた絵本にそういうお話があったもので」
苦笑をしながら答える。
翠葉はあの話しがえらい好きだったからなぁ……。
「数分前に上がったばかりです」
「そうですか。じゃ、行ってみます」
頭をポリポリと掻きながら、歩いてきたばかりの廊下を戻った。