光のもとでⅠ
10 Side Reiju 02話
エレベーターに乗り、十階に着く。と、ガラス戸の向こうに車椅子に座った娘がいた。
距離にして十メートルほど。
「翠葉が起きてる……」
感動的な再会だというのに、そんなことしか思いつかなかった。
この二日、翠葉が寝ている時間にはこっそりと家族総出で顔を見にきていた。
目にできるのは寝ている翠葉だけだった。
目を開けていない、横たわっている娘。
静かな寝息だけが生きていることを教えてくれる。
けれど、今は起きている。
車椅子に座り、大きな目をしっかりと開けた翠葉がそこにいる。
こっちを、俺を見ている。
俺は、まるで吸い寄せられるように翠葉のもとまで歩いた。
距離にして十メートルほど。
「翠葉が起きてる……」
感動的な再会だというのに、そんなことしか思いつかなかった。
この二日、翠葉が寝ている時間にはこっそりと家族総出で顔を見にきていた。
目にできるのは寝ている翠葉だけだった。
目を開けていない、横たわっている娘。
静かな寝息だけが生きていることを教えてくれる。
けれど、今は起きている。
車椅子に座り、大きな目をしっかりと開けた翠葉がそこにいる。
こっちを、俺を見ている。
俺は、まるで吸い寄せられるように翠葉のもとまで歩いた。