光のもとでⅠ
「でも、父さんはさ……側にいたいのはいたいけど、それで何もできない自分にも腹が立つんだ。だから、お金を稼ぐ……。どんな治療が降って湧いてもその治療を受けさせてあげられるだけの経済状態を維持する」
 俺にできるのはそのくらい、というのが極論だ。
 翠葉が固まっている気がしたから、
「なーんてな。……そんなふうに思うわけだ。だから、父さんは翠葉が仕事に行ってくれって言ってくれて助かったよ」
 すると、翠葉の表情が少しだけ緩んだ。
「たださ、女って生き物は母親だからなぁ……。男親とはちょっと違うんだよ」
 これは母親にならんとわからんものかなぁ……。
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