光のもとでⅠ
 どんなもんだい、と娘を見れば、
「……うん、近いうちに会うよ」
「……翠葉?」
「ん……?」
 どこか無理をしている笑顔。
 少し腰を浮かせ、翠葉の真正面にかがんだ。
「無理はしなくていいんだぞ?」
 これ以上の無理はしなくていい――。
「……何がなんだかわからなくなっちゃってるの」
 泣き笑いみたいなそんな表情と声だった。
 何か言葉をかけたいのに、何を言ってあげたらいいのかわからない。
 開いた口は言葉を見つけられずに再度閉じる。
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