光のもとでⅠ
「言われたほうが楽なこともあるんだよ」
「やだよ……。言わない。それだけは言わないっ、言いたくない、絶対に嫌っ」
 翠葉は顔を横に振って拒絶する。
「……そうか。ま、無理して言ってもらいたいことでもないんだけどな」
 なんていうか、やっぱだめじゃん、俺……。
「……いかんなぁ。父さん、ちょっと楽になりたいがために、こんなことを愛娘に言ってしまった」
 翠葉の手を離し、ぐん、と立ち上がり、後ろの藤山を臨む。
 まいったなぁ……どうやって話の方向転換を試みよう?
「あぁ、そうだ」
 唯くんの話があったじゃん。
 翠葉を振り返り、
「唯くん、うちの養子にしようと思うんだ」
「そうなのね」
 意外とすんなり返事を得られた。
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