光のもとでⅠ
「……マジかよ」
 俺は仮の主治医であって本当の主治医ではない。
 相馬が来るまでの代行だ。
 主治医となる相馬が言うなら、そうしなくてはならないだろう。
 けれど、あそこまでやせ細った子に今の話を告げるのは非情に思えた。
 あの子がどれほど痛みを恐れているのかも栞からよく聞いている。
 数日だが、彼女と接するようになって、どれだけ身体が過敏な状態にあるのかだってわかっている。
 加えて、精神的にも不安定という状況――。
「まいったな……」
 単に、外科手術をすればいいってものとは違う。
 患者のフォローっていうのは存外難しい。
 彼女の病室を訪れる時間が刻々と迫っていることを知らせる時計の秒針がやけにうるさく思えた。
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