光のもとでⅠ
 俺はひとり、屋内駐車場へと向かう廊下を歩く。
 屋内とはいえ、この時期は暑い。
 車に乗り込み窓全開でエアコンをかけた。
 少しでも早く快適空間へとなるように。
「翠葉ちゃん……君の心には今誰がいる?」
 携帯に向かって虚しい一言。
「……司、だったりするのかな」
 司といえば、会える状況になったら連絡くれるって言ってたけど、あれはやっぱりなかったことになっているのだろうか。
 湊ちゃんたちがOKということは、きっと蒼樹たちもOKなのだろう。
 ディスプレイに蒼樹と若槻の電話番号を交互に表示させるも、どちらにも電話をかけられずにいた。
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