光のもとでⅠ
「……本人がさ、面会謝絶を解き始めてるんだ。でも、俺にはまだ連絡がない」
「さようですか」
 言いながら、蔵元は会議での書類に目を走らせていた。
「なんでだと思う?」
「そんなこと私が知りますか」
「そうだよな」
 もう、布団に潜って寝てしまいたい心境だ。
「ただひとつ言えるとすれば、翠葉お嬢様のことですから、きちんと話ができる状態で連絡をしたいのでは?」
 蔵元は俺が彼女に髪を切らせてしまったことを知っている。
「司様にはお会いになっていらっしゃるのでしょう? でしたら、翠葉お嬢様が今一番気にかけているのは秋斗様なのでは? あれほどのことをされたのは秋斗様だけしょうし」
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