光のもとでⅠ
「俺の傷はさ、そんなことじゃ癒えないんだよね」
 彼女に近づき腰をかがめる。
 ふいに顔を上げた彼女の唇を奪った。
 もう、どっちの自分なのかがわからない。
 キスはしたかった。
 ずっとキスをしたいと、この手に抱きしめたいと思っていた。
 驚いて口を押さえる彼女に俺が言い放った言葉は、
「また俺の彼女になって。で、俺の傷を癒して」
「…………」
 何も答えられない彼女に、
「今のキスは軽いほうでしょ? もっと濃厚なキスだってしたことあるでしょ」
 そう淡々と口にして肩を抱いた。
「院内は空調がきいているから、ずっとここにいるのは寒いよ」
 ルームウェア越しでもわかる。
 彼女の身体は冷えている。
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