光のもとでⅠ
 思わず頬が緩む。
「わかった……。明日、翠葉と会ったあと、桃華に時間があればランチを食べに行こう」
『はい、楽しみにしています』
 少しずつ桃華の重装備が剥がれていく。
 そんな瞬間を嬉しいと思う自分がいた。
 翠葉はこれからどうなるのだろうか……。
 秋斗先輩はいったい何を考えていたのだろう。
 時期を見て静さんが連れてくると言っていたが、今はどうしているのか……。
 唯の仕事も指示は蔵元さんから来ているようで、秋斗先輩は関わっていないようだ。
 何かがおかしい……。
 そうは思うのに、何がおかしいのかがわからない。 
 ただ、先輩が何かを失敗したのはわかる気がした。
 見えない糸が翠葉に絡まっていて、ほどいてあげたいのに肝心の糸が見えない。
 意図も見えずにひどくもどかしい思いだった。
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