光のもとでⅠ
 練習を終え、身体中を濡れたタオルで拭きサッパリとする。
 ケンが頭を丸ごと水をかぶっているのを見て、とても気持ち良さそうに見えた。
 水に濡らしたあとは、犬のようにブルブル、と頭を振った。
「ケン、犬みたいだけど」
「なんとでも言ってくれっ! 部活後のこれだけは譲れねぇっ!」
 本当に気持ち良さそうに言うから、つい真似をした。
 そのときの、ぎょっとしたケンの顔がまた面白かった。
 頭から水をかぶり、確かに気持ちがいいかもしれない、と思った。
 さすがにケンのように頭を振る気にはならず、タオルで水気を拭き取る。
 制服に着替え、窓際に座り外から入ってくる風を感じていた。
< 2,389 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop