光のもとでⅠ
「翠?」
 改めて名前を呼んだ直後、
「御園生さん?」
 藤原さんが病室の入り口から翠に声をかけた。
「はいっ」
 今までに見たことがないくらい機敏な反応を見せた翠は、俺に背を向け藤原さんの方を向いた。
 髪が宙に弧を描く。
 その様に目が奪われた。
 ――短い?
「……問題なさそうね?」
 藤原さんの声に我を取り戻す。
 翠はその言葉にコクコクと頭を縦に振り、そのすぐあとにフルフル、と頭を横に振った。
 いったいどっちなんだか……。
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