光のもとでⅠ
「……だからさ、そんな必死にならなくても拒否したりしないから」
 変な話、小動物に懐かれた気分。
 携帯を手にベッドから下りた翠に、「これも」とフリースのブランケットを持たせる。
「どうせ、俺を見送ってから携帯ゾーンにいるつもりなんだろ?」
「……うん」
「なら、膝掛けくらい持っていって。……重さ、負担にならない?」
 表情をうかがうと、
「フリースは軽いから大丈夫……」
 普通の笑顔が返された。
 痛みが軽いというのは嘘ではないようだ。
 良かった……。
 ナースセンターで藤原さんに会釈をして通り過ぎる。
 少し遅れてついてきた翠は、俺の見送りにいく旨と、そのあと携帯ゾーンに行くことを藤原さんに伝えた。
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