光のもとでⅠ
「冷えないようにするのよ?」
「ツカサにこれ、持たされました」
「さすがね」
 後ろから笑いを交えた声が聞こえてくる。

 エレベーターは五階に停まっていたため、思ったよりも早くに着いた。
 扉が開いたそれに乗ると、
「あとで、電話するからねっ」
 翠は相変わらず必死な様子で口にする。
「待ってる」
 答えてすぐに扉が閉まった。
「なんか、調子狂う……」
 四角い箱の乗り物、エレベーターの壁に寄りかかりこめかみを押さえる。
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