光のもとでⅠ

32 Side Tsukasa 02話

 光の消えた携帯を握りなおし、朝陽の番号を呼び出す。
 一瞬、誰でもいいと思ったけど、話す相手を選ぶ話で――。
 数少ないアドレスを眺める。と、ひとつの名前に目が留まった。
 ――簾条桃華。
 正直、電話をかけたい相手でも相談したい相手でもない。
 でも、かけられる人間は限られている。
 ため息をひとつついて通話ボタンを押すと、三コール目で応答があった。
『何よ……』
 初っ端からケンカ腰……。
 ま、挨拶のようなものだと思えばいい。
< 2,430 / 10,041 >

この作品をシェア

pagetop